復刊熱望!!このマンガがスゴかった!

世の中にマンガ作品多くあれど、超人気作として長期連載できる作品はほんの一握り。アンケート至上主義の雑誌において効率よく新連載と人気作品を載せるには、アンケート結果で人気の低かった作品に容赦なく終了してもらう他に道はない。また作者側の事情や都合によりあえなく未完となった作品となったものも多くある。そう、それが「打ち切り」だ。それらの作品には文字通りつまらなかったものもあるかもしれない。しかし、打ち切られた作品の中にはアンケートに反映されないだけで、多くのファンがその続きを心待ちにしていたものもあるのだ。今回はそんな「実は愛されていた打ち切りマンガ」を紹介したい。 1:デラシネマ (作 星野泰視 講談社モーニング 2010〜2012年 全8巻) 戦後間もない民衆の娯楽であった日本映画界が題材。大部屋俳優の宮藤武晴(くどう たけはる)とトウダイ出のフォース助監督、風間俊一郎(かざま しゅんいちろう)、この二人のデラシネ(根無し草)が映画界で花咲くことを夢見た作品。 日映京都撮影所に所属する2人は、日本映画界の旧態依然とした伝統や礼儀に時に飲み込まれ時に抗いながらも「自分」を映画に全力でぶつけていくのだが、このマンガの「スゴかった」所はマンガの構成にある。コマ割り一つ一つが実際の映画のように丁寧に作られたカットなのだ。俳優たちの迫真の演技、それを真っ向から対峙し撮影する監督たち、その監督を支える撮影所のスタッフ、それら全てを更に我々読者が映画として見ているかのような錯覚に陥るのだ。作品名の「デラシネマ」はフランス語で根無し草を意味する「デラシネ」と映画の「シネマ」を掛け合わせた“かばん語”だが、このマンガ自体が「シネマンガ」と言っても過言ではない。残念ながら8巻で終わってしまったがネット上でも多くのファンが「デラシネマ」の打ち切りを嘆いていた。復刊が望まれる作品である。 2:度胸星 (作 山田芳裕 小学館週刊ヤングサンデー 2000〜2001年 全4巻) 1969年のアポロ計画からおよそ50余年、人類は火星に到達。NASAによる「第4惑星への計画」は順調と思われた矢先、突如火星と地球の交信が途絶える。火星に取り残されたクルーを救出するミッションに応募した主人公、三河度胸(みかわ どきょう)が厳しい選抜訓練や試験を乗り越え、死んだ父親のかつての願いであった「火星へ行くこと」を目指すマンガ。 作者はアニメ化も果たした超人気作品である「へうげもの」の山田芳裕。「戦国」モノと「宇宙」モノ、ジャンルは全く違うのだが面白さは「へうげもの」に勝るとも劣らず、いや、むしろ勝っているくらいだ。 「宇宙」モノと聞くと「宇宙兄弟」(小山宙哉 講談社)のような宇宙飛行士の夢と現実を描いた作品を思い浮かべがち(もちろん宇宙兄弟も素晴らしい)だが、「度胸星」は一味も二味も「スゴかった」。まずこの主人公、三河 度胸。選抜訓練などで幾多の困難が降りかかるのだが、その名の通り度胸で全て乗り越えてしまう。その姿はコミカルに描かれつつもストレートに読者に突き刺さる。そんな度胸を待ち受ける火星ではさらに奇想天外な世界が繰り広げられる。「第4惑星への計画」唯一の生存クルーが「テセラック」と呼ばれる謎の生命体との死闘を強いられるのである。「へうげもの」など山田芳裕の作品は手に汗握るシーンが数多くあるが「度胸星」はその量が異常で、言うなれば手から滝汗。どうなる度胸!何なんだテセラック!?という所で打ち切り。作者曰く続きを書く「意欲が無い」とのこと。筆者の私も続編を熱望している一作だ。 今回はこの2作品の紹介であったが、世間にはまだまだ打ち切りが悔やまれる作品が眠っている。残念ながら上記の続編復刊の予定は無いが、作者がマンガを描いてくださる限り、可能性はゼロではないと信じている。(草)

このマンガがすごかった!?「右曲がりのダンディ」

あらすじ: スーパーサラリーマン・一条まさと、27歳。 二枚目で身長187cm、都内の高級マンションに住み、愛車はポルシェ。 アフター5と休日は、数知れない女性達とのデートでスケジュールは一杯。 ”アレ”が右曲がりだが、そのおかげでどんな女性でも悦ばせる事が出来てしまう絶倫テクの持ち主…。 これは、そんな男の人間愛の物語である。 --- バブル時代絶頂期! そんな時代背景のマンガです。 当時中学生だった自分は、大人になって働き出したらこんな生活の片鱗に触れることができるの?と幻想を抱いていました。 ま、バブル崩壊とともにそんな幻想も崩れ去りましたがw 基本ギャグマンガに分類されるので、人生のウンチクみたいなものは皆無で、 タイトル通り、右曲がりからの”お約束行為”がメインのマンガではありますが、 ハチャメチャながらほっこりするエピソードが多いのもオススメのひとつです。 自分の欲求には素直に従う。 傍目から見るとアホそうなことでも、必要とあらば真剣にやり切る。 ぶっちゃけ系って意外とカッコイイのかも!と思わせてくれたマンガでもあります。 あの頃を懐かしみたいバブル世代の方、 今となっては信じられないバブル時代とはどんな感じだったのかを知りたいバブル未経験世代の方、 興味が湧いたらちょっと読んでみてください。(N)

このマンガがすごかった!?「ミスター味っ子」

80年代に誕生!現在の料理まんがのベースとなった漫画! まず読者の皆様に伝えておきたいのは、1980年代には現在の料理漫画のベースになった伝説の2作品誕生したことである。 1つは料理に「歴史や食文化」という付加価値を加え、知識としての漫画を楽しませることに成功した「美味しんぼ」。 そしてもう一つは、料理対決をエンターテイメントまで押し上げることに成功した「ミスター味っ子」である。 今回はこの「ミスター味っ子」について、掘り下げたいと思う。 「ミスター味っ子」は1986年から1989年まで『週刊少年マガジン』で連載された、寺沢大介氏による料理漫画であり、テレビ東京系でテレビアニメ化もされた作品である。 あらすじはこうだ。 亡き父が残した日之出食堂を、母と一緒に支える本作の主人公、味吉陽一(あじよしよういち)のもとに、日本料理界の重鎮「味皇(あじおう)」こと村田源二郎が訪れる。 そこで味皇は陽一の作ったカツ丼を食べてその味に驚き、これがきっかけで陽一は数々の料理人と「料理勝負」をすることになる。 本作を語る上で欠かせないのが、おいしい料理を食べた後などの超弩級なリアクションであろう。 なかでも味皇のリアクションが凄まじく、料理を食べた後に 『うー・まー・いー・ぞぉぉぉぉっ!!』と叫びながら口からビームを発射! 他にも 「津波の中を泳ぐ」 「宇宙へ飛んで行く」 「巨大化して大阪城を破壊する」 といった、コイツまじで大丈夫か? というような超弩級なリアクション数多く描かれている。 しかしながら、この料理を超越したSF的な「感情表現方法」は、昨今の料理漫画にも多くの影響を与え、料理まんがをエンターテイメントまで押し上げた1つの要因でもある(と考える) また、ミスター味っ子は、掲載された雑誌が『週刊少年マガジン』という少年誌であること、料理のうんちくよりもエンターテイメント性を重視したことにより、 料理から遠い存在である、中学・高校男子に料理への興味を持たせることに成功した。 かく言う私も、当時ミスター味っ子を読んで、初めて料理を試みた一人である。 私が参考にしたのは陽一がライバルの堺一馬(さかい かずま)と戦った「カレー対決」である。 ちなみに一馬は「味の貴公子」や「カレーの天才」と呼ばれており、漫画ではよく出てくる天才、ドラゴン○ールでいうところの、ベ○ータ的な立ち位置である。 ここで天才である一馬は、肉を柔らかくする為に、ヨーグルトに漬け込むという工夫をしていたのである。 それを読んだ私はさっそくヨーグルトを大量に購入してそれをタッパにいれ、その中に鶏肉を沈め、1晩寝かせたのである。 翌日、鶏肉はみごとに柔らかくなり、それを使って美味しくカレーを頂いたのを今でも覚えている。 さらに、このカレー対決を機に、私もカレーをつくることに喜びを感じることになったのだ。 ちょっと脱線するが、最近つくったズゴックカレーを見ていただこう。 カレーの中から スーッ と顔を出すズゴック(ライス)である。 ライスをケチャップライスにしたら「シャア専用」になるかも!?と思ったが、味が変わってしまうので、残念ならがホワイトズゴックになった。 このように、ミスター味っ子は、昨今の料理まんがにエンターテイメントとしてのスパイスを加えただけではなく、 料理をしない人たち(おもに男性)にも、料理を身近に感じさせることに成功した傑作といえるのである。 byすけちの